脊椎・骨腫瘍
脊椎・骨腫瘍について(放射線治療)
- 骨転移・脊椎転移について
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がん患者様にとって骨転移は、直接生命を脅かすものではありませんが、痛み、骨折、麻痺など生活の質(QOL)を低下させる重要な原因となっています。
特に、脊椎に転移した場合、大事な神経である脊髄を圧迫し、四肢麻痺などをきたすこともあります。
骨転移、脊椎転移に適切に対処することで重大な障害を回避することができます。
がんの種類によりますが、骨転移を持ちながらも長い期間、がんと共存される方もおられます。 - 骨転移・脊椎転移の放射線治療
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骨転移や脊椎転移に対して、放射線治療は有効な治療法として認知されています。
放射線治療には、骨転移による痛みの消失あるいは軽減させる効果があり、脊椎転移に対しては、脊髄圧迫による四肢麻痺のリスクを回避することが可能です.。 - 当クリニックにおける脊椎転移の放射線治療の特徴
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骨転移の中で、最も問題となるのが脊椎転移による脊髄の圧迫です。
多くの医療機関では、脊椎転移に対して緩和的な放射線治療が行われていますが、当院では根治目的の照射を行っていま す。
また、脊椎に緩和照射した同じ場所に再発が生じてしまった場合でも、積極的に安全な根治的再照射を行っています。
当クリニックでは、IMRTの技術を用いて、経験豊富な専門スタッフにより、綿密な治療の評価のもと、脊髄を避けた高精度な治療が可能となっています。
脊椎転移に対するIMRT
脊椎には高線量(赤)が照射され、骨に囲まれた脊髄をくり抜くように照射を行います。
高精度な装置と技術を必要とする治療です。
- 放射線治療の流れ
- 放射線治療の詳しい流れについてはこちらをご覧下さい。
- 骨転移・脊椎転移のIMRTに係る費用
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がんの原発巣が制御され、骨転移が限局している場合: 保険適用
骨転移が限局しておらず、複数のがん、転移がある場合: 自由診療
脊椎・骨腫瘍について(IVR治療)
- 脊椎・骨腫瘍について(IVR治療)
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骨転移が疑われた場合、原発巣が不明なことも多く、原発不明がんの可能性もあります。
その場合には、当院では診断のための生検術を積極的に行っています。骨転移・脊椎転移は、当院で放射線治療が主な治療となりますが、腫瘍に伴う圧迫骨折や、疼痛緩和目的のIVRも積極的に取り組んでいます。
具体的には、経皮的椎体形成術(PVP)、腫瘍に対する動脈塞栓術等が挙げられます。
経皮的椎体形成術(PVP)について
- 経皮的椎体形成術(PVP)とは
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経皮的椎体形成術(PVP)とは、骨粗鬆症(骨粗しょう症)や、悪性腫瘍(転移性骨腫瘍)など
によって生じた、椎体(脊椎)の圧迫骨折による痛みに対する、針を用いた新しい治療法です。圧迫骨折が生じると、疼痛(痛み)が出現し、寝たきりなど、QOLの大幅な低下だけでなく、
生命予後も悪化させることがあります。BKP(バルーンによるカイフォプラスティ)では、通常入院を必要としますが、
PVPは痛みのない日帰りでの治療が可能で、局所麻酔で行い、傷は残りません。効果は個人差がありますが、治療直後から痛みが改善する方も多くおられます。
当クリニックでは、CT透視(とうし)を用いて、安全な穿刺経路で、骨折をした脊椎へ、正確に針に進めて治療を行います。
- 代表的なPVPの良い適応
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①年齢が55歳以上
②胸椎や腰椎の圧迫骨折により、それが痛みの原因となっている
③保存的治療を行っても体動時に疼痛が続いている
④感染性の脊椎炎ではない
⑤椎体の高さが1/3以上に保たれている
⑥主要臓器の機能が保たれている
⑦外科的手術の適応とならない、もしくは希望しない - CTガイド下経皮的椎体形成術(PVP)
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CTガイド下経皮的椎体形成術とは、CT装置で、からだの断面像を動画で見ながら、
背骨(せぼね) に細い針を刺して、弱くなった脊椎の中にセメントを注入して、骨を補強する治療法です。
90%以上の方に、一定の除痛効果が得られます。
治療は通常、日帰りでおこないます。ご希望により、1泊2日での入院治療も可能です。
所要時間:約1時間(検査室入室~退室まで) - 治療の実際
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CT室でうつ伏せで横になっていただき、骨折部位の位置を確認し、穿刺(せんし)ルートを確認します。
皮膚を消毒し、局所麻酔をした後、そのままの姿勢で滅菌された布を被せます。
治療中は、なるべく大きな動きは避けてください(お声かけをいただければ対応いたします)。
緊張や不安が強い方には、軽く眠たくなる薬を使用し、痛みのない治療を行っています。
直後に、CTの画像で確認し、針を抜いて、治療を終了します。 - 治療後の注意
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検査後は、針を刺した場所にガーゼをあて、約30分ほど、外来で安静にしていただき、
問題がないことを確認の上、帰宅していただきます。 - 合併症
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ほとんどの合併症は、骨セメントが周囲に漏れることによって起こります。脊柱管(せきちゅうかん)という、
脊髄(せきずい)が通る場所に漏れると、麻痺やしびれ、痛みなどの神経症状が生じることがごく稀にあります。
ただし、CT透視を見ながらゆっくりとセメントを注入しますので、非常に稀です。
その他、報告レベルでは、セメントが骨の中の血管に入り、肺などに飛んでしまう塞栓症が起こることもありますが、非常に稀です。
また、感染、出血など、針を刺すこと自体による副作用が起こり得ます。
〈参考資料〉
日本IVR学会ホームページ:背骨の痛みに対し骨セメントを入れる椎体形成術とは?
※これらの合併症に対して、担当医の他、各専門の医師が迅速に対応できる体制を取っています。
現在、関西や大阪で施行している施設は、限られているのが現状です。
ご不明な点があれば、ご遠慮なく看護師、医師、スタッフにお聞きください。 - 費用
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現在、悪性腫瘍(転移性腫瘍等)に伴う圧迫骨折や痛みに対しては、保険診療が認められています。
良性の骨粗しょう症による圧迫骨折では、原則として自由診療となります。
詳細につきましては、当院までお問い合わせください。
CTガイド下骨穿刺