肝腫瘍
肝腫瘍について
- 肝腫瘍について
- 肝腫瘍(かんしゅよう)は、肝実質や胆管から発生したもの(原発性肝がん・胆管がん)と、他の臓器から転移したもの(転移性肝がん)に大きく分かれます。
悪性の肝腫瘍(肝がん)は、正常組織よりも増殖速度が速く、まわりの組織を破壊して発育し、時に他の場所に転移します。
※良性の腫瘍として、肝嚢胞(のうほう)という水のたまりができることがあります。通常は無症状ですが、サイズが大きくなり、お腹の圧迫症状を来した場合や、感染している場合にはドレナージ治療の対象となります。
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原発性肝がん
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転移性肝がん
- 肝がんの検査
- 肝がんの場合、CTやMRIを用いた造影検査を行い、腫瘍の形、性状、濃染パターンや大きさによって診断されます。
画像検査のみでは判断が難しい場合には、CTガイド下肝生検という、細胞を針を使って採取する検査があります。
肝がんの治療について
- 肝の悪性腫瘍(肝がん)の治療
- 肝がんの局所治療は、腫瘍の個数や大きさ、肝機能、全身状態によって①手術 ② IVR治療(肝動脈化学塞栓療法、ラジオ波凝固療法など) ③放射線治療(定位放射線治療、IMRT)が標準的な治療です。
当クリニックでは最先端のIVR治療と、近年注目され始めている定位放射線治療およびIMRTを行っており、個々の患者さんに応じた、最適な治療法を提供いたします。
どちらも放射線科専門医が行う低侵襲治療で、手術よりも体への負担が少ないことが大きなメリットです。
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肝がんに対する放射線治療
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肝がんに対するIVR治療
肝がんの高精度放射線治療
- 肝がんの高精度放射線治療
- 原発性肝がんや転移性肝がんをピンポイントに治療する定位放射線治療は、手術と同等の治療成績であり、体への負担も少なく、高齢者でも安全に治療を実施することができます。
複雑な治療範囲となる原発性胆管がんも、放射線治療(IMRT)により、根治を目指した放射線治療を積極的におこなっています。当クリニックでは多くの治療実績のもと、専門スタッフによるきめ細やかな説明、治療、治療後のフォローアップを実施しています。
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転移性肝がん(単結節のみ)
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原発性胆管がん(複雑な形状)
- 保険が適用される肝がんの定位放射線治療
- 原発性肝がん:がんの転移がない、5cm以下の単発病変
転移性肝がん:肝以外に転移病変が無く、5cm以下で3個以内の病変
- 肝がんの放射線治療の副作用
- 肝がんの放射線治療の副作用として、肝機能障害、胆管炎、胃・十二指腸潰瘍などがまれに起こることがありますが、これらの副作用は治療後のフォローアップにより、状態観察および対処を行いますのでご安心ください。
肝がんの肝動脈化学塞栓術
肝がんに対する肝動脈化学塞栓術(TACE)は、腫瘍を栄養する血管に通したカテーテルから抗がん剤を投与した後、血管を詰めて「兵糧攻め」にする治療法で、現在多くの施設で広く行われています。
特に細い栄養血管まで選択的にマイクロカテーテルを進めることで、より効果が高く、予後の延長に寄与することが科学的に証明されています
(※参考文献)。
当院ではIVR専門医により、局所再発のより少ない治療法を提供しています。
2014年から保険適用となった「ビーズ」という新しい塞栓(そくせん)物質を用いた治療など、全国の大学病院等と連携し、多施設共同で新たな臨床研究にも積極的に参加しています。
他のあらゆる臓器からの転移性肝がんも、TACEの適応となります。当クリニックでは5000例を超える豊富な治療経験を有した専門医により、安全でより効果的な治療を実施しています(※参考文献)。
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治療前
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治療後(消失)
肝がんのラジオ波凝固療法
肝がんに対するラジオ波凝固療法(RFA)は、2004年の保険適用を機に、全国で広く行われています。
ただし局所再発も多く、一般に大きながんでは適応とならない施設も多いのが現状です。
当クリニックでは、エビデンスをもとにIVR専門医により、局所再発のきわめて少ない治療法を提供しています。
一般に治療成績が悪いとされている転移性肝がんに対しても、根治を目指したラジオ波治療を行っています。
特にCT透視を用いたラジオ波治療は、超音波で見えない病変にも適応があり、場所によらず正確に治療ができます。
またTACEとの併用により、3cmを超えるような大きい病変でも、根治が可能となります。
当クリニックでは、1000例を超える多くの治療経験を有する専門医のもと、2015年4月から国内初のVIVAシステムを導入し、安全で確実な治療を実施しています。
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治療前
(大きめの肝がん) -
CT透視下RFA
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治療直後(治癒)
(治療部は黒く
縁どられます) -
治療5年後(再発なし)
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VIVA RFシステム
- 肝がんの肝動脈化学塞栓療法・ラジオ波凝固療法の適応
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原発性肝がん:肝機能(Child分類)がA,Bで、門脈浸潤がない
転移性肝がん:肝以外に転移病変があっても、3cm以下、3個以内の病変※ 当院ではこれらの一般的適応以外にも、患者様の状態に応じて肝動脈化学塞栓療法
とラジオ波凝固療法を組み合わせて、様々な病変に対するIVR治療を行っています。※ 大腸がんの他、胃がん、前立腺がん、腎がん、膀胱がん、乳がん、胃がん、子宮がんなど、
全身のあらゆる臓器からの肝転移に対して、十分な適応判断のもと、治療を実施しています。※ 当クリニックでは、長期成績や適応について、大学病院などの研究施設と密に連携を
とり、多施設での共同研究に積極的に参加しています。
- 合併症について
- 安全性については特に注意をはらっています。もっとも多い合併症は一過性の肝機能障害ですが、点滴などの保存的加療で軽快することがほとんどです。
- 費用について
- 肝がんのIVRは一部を除いてほとんどが保険適用となります。
※その他、詳細については直接お問い合わせください。